ASUSのネットブック EeePC 1001HAにCentOS5.5をインストール

5月の連休中に思い立って、ネットブックと呼ばれている類のPCを購入した。
googleで"ネットブック"として検索したら最初に出てきた製品がEee PC 1001HAで、価格は34,800円だった。
これまで私が購入したことのあるノートに比べて圧倒的に安いこともあり、これまで常用していたノートが壊れてしまったこともあり、処理速度が遅いという噂を聞いてはいたが、この値段なら試しに買っても良いだろうという気になった。
新宿にある量販店に行ってみたら、店頭に展示してあるモデルの中にはなかったが、店員さんに尋ねると1台だけ在庫があると言う。
なぜ店頭に展示していないのか、なぜ在庫が1台だけなのかちょっと気になり、他にも色々似たようなモデルがあるので迷ったが、結局当初の予定通り購入することにした。価格もネットで出てきた金額とぴったりだった。

手提げできる箱に入っていても、これまでのノートに比べて、とても小さくて軽い。
さっそく持ち帰って、普段使っているCentOS5.4をインストールした。
その後、色々といじっているうちに、つい先日、5月14日(日本時間では5月15日)にCentOS5.5がリリースされたので、こちらをインストールした。5.4の場合も、5.5の場合も、ネットワークI/FドライバをCentOSのリポジトリからダウンロードして追加するなど、多少の作業が必要だったが問題なくインストール完了。=> インストール作業や使い勝手などはまた日を改めて書くつもりです。

この機会にモバイル系のハードウェアとソフトウェアを、ネットブックとスマートフォンを中心に、以下少し調べてみました。


[ネットブック]
ネットブックで多く採用されているIntel AtomプロセッサのN270のデータシートの冒頭に、

  - The first generation of low-power IA-32 micro-architecture specially designed for Netbook’08 Platform. -

という記述があります。この"Netbook’08 Platform"についての説明が見当たりませんが、IntelのWebサイトにはノートPCやモバイル系のデバイスをカテゴリ分けした図が載っています。

  http://www.intel.com/itcenter/system/internet_device/index.htm?iid=subhdr+itc_intdev

この図には、

  ラップトップPC、デスクトップPC用として Intel Core プロセッサが、
  スマートフォン、MID(Mobile Internet Device)、ネットブック用として Intel Atom プロセッサが、

描かれています。

またIntel Press Room には、自社のプロセッサとの対応で、ネットブックとエントリレベルデスクトップの位置付けを説明する興味深い記事があります。
  http://www.intel.com/pressroom/archive/releases/2009/20091221comp_sm.htm
  Presentation - Next-Generation Intel Atom Platform Briefing

ウィキペディアによるとネットブックは、
「ウェブサイトの閲覧や電子メール・チャットなどの基本的なインターネット上のサービスを利用することを主な用途とした、安価で小型軽量で簡便なノートパソコンのカテゴリーである。」
と書かれています。
  http://ja.wikipedia.org/wiki/ネットブック

安価、小型軽量、低消費電力(バッテリー駆動時間が長い)、そして処理速度、画面解像度は一般的なノートPCより低いが、汎用的なOSやアプリケーションを稼働できる最低限の機能、性能を持つノートPC、というところでしょうか。

ネットブックのカテゴリのPCは、国内外の様々なメーカーから多様なモデルが発売されていて、どこに違いがあるのか選定に迷います。
私としては、プロセッサの性能、画面解像度、バッテリー駆動時間、メモリーサイズ、価格が主要な選定要素となるように思います。

そこで自分が購入したネットブックと他のモデルを、上記の要素を主に比較してみました。

[表1. 購入したASUSのネットブックと他のモデル1つを比較]      
モデル名液晶ディスプレイ解像度グラフィックス外部ディスプレイ出力CPU/チップセットメモリハードディスクバッテリー駆動時間重量
Eee PC 1001HA10.1型ワイドTFTカラー液晶1,024×600ドット (WSVGA)インテル® グラフィックス・メディア・アクセラレーター 950最大2,048×1,536ドットインテル® Atom™ プロセッサー N270/モバイル インテル® 945GSE Express チップセット1GB約160GB約6.5時間約1.25kg
Eee PC 1005PE10.1型ワイドTFTカラー液晶1,024×600ドット (WSVGA)最大1,680x1,050ドットインテル® Atom™ プロセッサー N450/モバイル インテル® NM10 Express チップセット1GB約250GB約11.7時間約1.27kg
  参考URL
    http://www.asus.co.jp/AllProducts.aspx?PG_ID=7dDelmkESu9DXgVB

ネットブックのカテゴリに入るPCは、国内、国外色々なメーカーが製品を出していますが、
液晶ディスプレイ => 10インチ程度、画面解像度 => 1024x600、メモリ => 1GB程度、バッテリー駆動時間 => 5時間~10時間、プロセッサはIntelのAtomを採用しているものが多いようです。

[表2. ネットブックで採用されている主なAtomプロセッサの比較 ]
ProcessorCacheClockBusCores/ThreadsMax TDPInstructionIntegrated Graphics
N270512 KB L21.6 GHz533 MHz FSB1C/2T2.5W32bit-
N280512 KB L21.66 GHz667 MHz FSB1C/2T2.5W32bit-
N450512 KB L21.66 GHzDMI1C/2T5.5W64bitYes
N470512 KB L21.83 GHzDMI1C/2T6.5W64bitYes
 参考URL:
    http://ark.intel.com/ProductCollection.aspx?familyID=29035
    http://www.intel.com/products/processor/atom/specifications.htm
    http://www.intel.com/jp/products/processor/atom/specifications.htm

[ ネットブックで動かせるオペレーティングシステム ]
ほとんどのネットブックにはノートPCと同じく、MicrosoftのWindows XPやWindows 7がプリインストールされています。
Linuxも当然、使うことができます。私はASUS Eee PC 1001HAにCentOS5.4, CentOS5.5, Fedora12をインストールして動かしてみました。
使ってみるとFedora12ではアプリケーションの起動などがこれまで使っていたノートに比べて体感的にかなり遅く感じます。
CentOS5.4/5.5ではアプリの起動は我慢できる範囲ですが、縦方向の解像度が600ドットと小さいため、これまでのノートに比べて表示領域の狭さを使い難く感じます。
デフォルトで画面の上と下に配置されているパネルを右側に持っていくなど、カスタマイズするとかなり良くなります。

このように処理速度や画面解像度が一般のノートより低いネットブックに合わせて、MoblinやGoogle Chrome OSなどのLinux系OSの開発が進められています。
"PRODUCT BRIEF Intel® Atom™ Processor for Netbooks"にもサポートするOSとしてMoblinが紹介されています。
    http://download.intel.com/products/atom/322868.pdf
WebページでもMoblinが紹介されています。
    http://www.intel.com/jp/technology/moblin/index.htm
Moblinのサイト
  http://moblin.org/
  http://www.moblin.jp/index.html
  日本語のサイトでは名前がMeeGoとなっています。
  インテル社が中心となって開発されたMoblinとノキア社のMaemoプロジェクトが統合されてMeeGoという名前になったようです。

FedoraMoblinのサイト
  https://fedoraproject.org/wiki/Features/FedoraMoblin

Ubuntu Netbook Edition のサイト
  http://www.ubuntu.com/getubuntu/download-netbook

Google Chrome OSのサイト
  http://www.google.jp/chrome/


[スマートフォン]
携帯電話と、PDAのようなデータ処理機能を合わせ持つ携帯端末がスマートフォンと呼ばれているようです。
  http://ja.wikipedia.org/wiki/スマートフォン

例えばNTTドコモのサイトの製品群の中にもスマートフォンのカテゴリがあります。
  http://www.nttdocomo.co.jp/product/
  http://smartphone.nttdocomo.co.jp/

スマートフォン製品とその他の携帯電話の仕様のページなどを見比べてみると、
スマートフォンではプロセッサ、OS、開発環境などが公開されていますが、その他の携帯電話製品ではほとんど非公開となっています。
一般の携帯電話では機能は固定化されているが、スマートフォンでは新たに開発されたアプリケーションを追加するなどのカスタマイズができることを意味すると思われます。

[表3. NTTドコモのスマートフォン、第三世代携帯、アップルのiPhone 3GSを比較 ]                        
モデル名液晶ディスプレイ解像度CPUメモリOS連続待受時間重量
HT-03A約 3.2インチ ハーフVGA TFT320×480ドットMSM7201A 528MHzROM:512MB, RAM:192MBAndroid 1.53G:約 210時間約 123g
Xperia(TM) SO-01B約 4インチ HVGA TFT480×854ドットQSD8250 1GHz(Snapdragon)ROM:1GB, RAM:384MBAndroid 1.63G:約 300時間約 139g
BlackBerry® Bold(TM)約2.7インチ HVGA TFT480×320ドット非公開ROM:非公開, RAM:128MB+1GBBlackBerry OS(Ver.4.6)3G:約 250時間約 137g
T-01A約4.1インチ ワイドVGA TFT480×800ドットQSD8250 1GHz(Snapdragon)ROM:512MB, RAM:256MBWindows Mobile® 6.1 Professional3G:約 250時間約 129g
N905iμ3インチ/TFT液晶/ワイドVGA480×854ドットM2 500MHz
(製品の仕様では公開されていない。ウィキペディアの情報より。)
Linux + MOAP(L)
(製品の仕様では公開されていない。ウィキペディアの情報より。)
約630時間(GSM約290時間)約 106g
iPhone 3GS約3.5インチ480×320ドットS5PC100 600MHziPhone OS3G:約 300時間約 135g
  参考URL
   http://smartphone.nttdocomo.co.jp/
   http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/pro/
   http://www.n-keitai.com/n905imyu/sp.html
   http://www.apple.com/jp/iphone/specs.html

上記の表に挙げたCPUをネットで調べてみると、ほとんどがARM社からライセンス供与を受けて、ARMプロセッサをコアとしてインテグレートしたLSIでした。
  MSM7201A : Qualcomm社製、ARM1136EJ-S
  QSD8250  : Qualcomm社製、ARMv7インストラクションセット互換
  M2    : ルネサスエレクトロニクス(旧NECエレクトロニクス)社製、ARM1176JZF-S
  S5PC100  : Samsung社製、ARM Cortex-A8

  参考URL
   http://pdadb.net/index.php?m=cpu&id=a7201a&c=qualcomm_msm7201a
   http://pdadb.net/index.php?m=cpu&id=a8250&c=qualcomm_snapdragon_qsd8250
   http://www2.renesas.com/mobile/ja/medity/chipset2.html#pageLink02
   http://pdadb.net/index.php?m=cpu&id=a10000&c=samsung_s5pc100

ARMはもともと組込み系のシステムで広く使われてきたプロセッサです。低消費電力、高性能が強みで、上記の通りたくさんの半導体メーカーにライセンス供与して、モバイル端末の分野でもシェアを伸ばしているようです。
  http://www.jp.arm.com/products/processors/index.html

ARM社による、Intel Atomプロセッサ(1.6GHz)を使用したネットブックと、ARM Cortex-A9を使用した開発ボードの性能を比較した興味深いYoutube動画がありました。
  http://www.youtube.com/watch?v=W4W6lVQl3QA

[表4. ARMプロセッサの種類 ]                                                          
Cortexプロセッサ新しいARMv7アーキテクチャをベースとしたプロセッサファミリ
 ( Cortex-MはARMv6Mをベースとしている )
Cortex-AApplication Processor
スマートフォンや、より高機能な携帯端末向けのプロセッサ
Cortex-RRealtime Processor
組込み/リアルタイム処理用のプロセッサ
Cortex-MMicrocontroller
組込み用のプロセッサ
ClassicプロセッサARMv4, ARMv5, ARMv6アーキテクチャをベースとしたプロセッサファミリARM11主としてスマートフォン向けの高性能プロセッサ
ARM9組込み用プロセッサ
ARM71994年から提供されている組込み用プロセッサ。Cortex-Mがこの上位モデルとなる。
    上記以外に、スマートカードなどのセキュリティ用途向けのSecureCoreプロセッサがあります。
  参考URL
    http://www.arm.com/products/processors/index.php

[ARMプロセッサ用組込みシステムの開発環境]
組込みシステム(ARM7, ARM9, Cortex-M)用の開発ツールや評価ボードが Keil から提供されています。
  http://www.keil.com/
  http://www.keil.com/arm/
  (Keilは組込み用の開発ツールを提供する会社で、2005年にARMが買収。)

  開発ツールの評価版は登録すればダウンロードできるようです。
  http://www.keil.com/demo/

  ユーザーズガイドもWebに掲載されています。
  http://www.keil.com/support/man/docs/rlarm/

[表5. スマートフォン用のオペレーティングシステム ]
OSURL, etc2009年第2四半期のシェア(注1*)
Symbian OShttp://www.symbian.org/ 50.3%
BlackBerry OShttp://na.blackberry.com/
http://ap.blackberry.com/jpn/
20.9%
iPhone OShttp://www.apple.com/iphone/
http://www.apple.com/jp/iphone/
13.7%
Windows Mobilehttp://www.microsoft.com/windowsmobile/ja-jp/default.mspx
http://www.microsoft.com/windowsmobile/ja-jp/wm65/prodinfo/whatsnew.mspx
9%
Androidhttp://www.android.com/2.8%
その他 3.3%
  (注1*) ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/スマートフォン より。 (元となったニュースは、AppleInsider より。)

私の調べたモデル(表4)では使われていなかったのですが、シェアとしてはSymbian OSが一番のようです。
Symbian FoundationのWebサイトにSymbian搭載機種一覧(合計123機種 2010年4月16日現在)が掲載されています。
  http://www2.symbian.org/jp/media/phones.php

OSはある期間でバージョンアップが行われるので、これに対応して使っている機種のOSをバージョンアップできるのか、手順はどのようなものか、OSのバージョンアップにともなってアプリケーションもバージョンアップしないと動かないケースが出るような場合、その手順はどのようにするかなど、一般的なOSと同じ状況が起きると思われるので、これにどのように対処できるのか、知りたいところです。
(例えば上記の表3に挙げた機種では、Android1.5あるいは1.6が使われているが、すでに2.2がリリースされた。)

[スマートフォン用のアプリケーション開発環境]
Symbian
  http://developer.symbian.org/
BlackBerry
  http://na.blackberry.com/eng/developers/
Android
  http://developer.android.com/index.html
Windows Mobile
  http://developer.windowsphone.com/Default.aspx
  http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windowsmobile/default.aspx
iPhone
  http://developer.apple.com/programs/iphone/
  "iPhone 開発"でgoogle検索するとたくさんの解説ページが出てきます。

NTTドコモのWebサイトにもありました。
  http://smartphone.nttdocomo.co.jp/fordeveloper/

OSや機種ごとに、対応アプリケーションのネット販売サイトが色々とあるようです。
  例)
  http://apps.smartphone.nttdocomo.co.jp/

これだけたくさんのOSや機種があると、どれ向けのアプリを作るか、開発者は悩んでしまいそうです。
アプリケーションを募集するこんな記事がありました。
  http://smartphone.nttdocomo.co.jp/fordeveloper/a3/


[最新ニュース]
ITmediaのプロモバイルというWebサイトに、関連した興味深い記事がありました。上記、表5のOSシェアもこの5月の調査では変化があるようです。
http://www.itmedia.co.jp/promobile/
http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1002/23/news037.html
シェア低下はiPhoneの影響、2010年は前進の年に——Symbianのフォーサイス氏 (1/2)

http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1004/26/news046.html
ドコモ、ルネサスと端末メーカー4社、新アプリケーションプラットフォームを共同開発

http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1005/20/news010.html
Androidが急成長、Windows Mobileを追い抜く

http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1005/21/news029.html
Google、「Android 2.2 SDK」を発表 iTunes対抗の音楽機能も披露

http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1005/21/news051.html
Adobe、Android向け「Flash Player 10.1」β版をリリース
「Android 2.2」にアップグレードした端末では、新Flash Playerのβ版をダウンロードしてインストールできる。